1
心臓の熱さに恋してる
「平穏にも後悔にもお前を思い出すよ」
素顔も忘れて神様を捜してた
きみのひたむきにひたりたい
トカゲが身勝手に殉じたとして
冬虫夏草の世迷言
三色すみれをふかしすぎ
エゴイスティック・シャワーヘッド
少年は無邪気の遊び声を聞く
赤子の手をひねるようにしあわせにしてください
かなしみみたいな黒をわすれないでね
無常を儚んでは翅を落とした
2
昔うじ虫だった気がする
地獄すら君の手でとろける
ひきずれるほどに祈った
丁寧にごまかしてしまいこんだ慕情だけを
盆にかえらない水があるでしょう
だれでもないという蜜
海原を孕ませて沈む
これはびしょびしょの横暴だ
かばねにもたれる僕でありたかった
春を汲むことの他にない
祝福されたケロイドだけを覚えています
千六十四℃の毒薬
3
救いの掌は嘘八百の中に咲く
そうとはつゆしらずおまえを沈ませるよ
ショッキングキャンデーの声色
金平糖は塩水に溶けません
錆鉄色の惨さが好き
僕のために生きとし生けるもの捨ててきてくださいよ
とてもよく似ている二つの酷薄
すみれは64年を重ねてできてる
乳に浸って脱皮するのだろう
ふくよかの餌食となった
エチケットのあるウサギになれば
天上のノウゼンカズラ
4
童心に浸して
その清い音はわたしにだけ罵詈となる
艶紅さしすせそ
朧月夜に嫉妬鳥
くだらないであふれかえればいいんだ
愛に短し情けに長し
へその緒のずっとしたにいる
このまま諸々のおかしさをみないでいて
瞳に星を抱いたまま少年は世俗を泳ぐ
ザ・ボーイワズアストラルラヴァー
つかみ取る生き方知ってるよ
むせびながらあなたを食べる真似をした
「いい子だから焦熱地獄を生き延びてね」
このたゆたいさえ君を裁くのなら
指折り月を殺してきました
そっとそーっと離れちゃうの
(ぼくはみらいいらない)
5
しちはごじゅうく
二番手煎じて飲み干せば
万人の正しさにたどり着けないんだ
神様は産声をくれた
金色にその勇烈はよく映える
無頓着に五十年間愛しあおうよ
冬にかすんでかき消して
お前には聴こえないモラトリアム
火傷するくらいのうるおいがほしいの
唐糸たどれば幕切れ
大人は上手に咀嚼する
セミより僕の愛はうるさかったですか
ある日祈りを口にして
淡くいとおしいだけかもしれない糧を
6
どうか君は絢爛豪華な左足であれ
そんな朝にできた傷はうるう色
ひそやかに蕾んでいようか
読み仮名がなり声
来々世の日の出をよこせよ
同情のお新香を一口
丑の刻じゃ遅いわ
ローティーンの壊しかた
水をきらきらにできる子供たち
その白線は生きた貝がらでできてる
「いまに夢となる、そうと知れる、恋慕する」
まるでその子は千夜目の
脊髄のぬけたあさましさのことです
しきみの苦さをいつか君も気づくでしょう
ななめ七里のななかまど
六十年物の骨はスペクトル
7
おかあさんだなんておこがましいわね
コケティッシュのふきだまり
雪明りにのぼせる
きんぎょ説法
だって私はおさないもの
不用意におや、子猫だねって
ともすれば盲目となるような
のうてんきあめの日
穀潰しのシンプソン
こんこんと溢れるはず
三千個の連綿で楽園に行くんだ
でしゃばるトーシロは打たれる
ウィスキー・ザンギリ・ボンボン
Whiskey Zangiri Bon-Bon
田舎は赤い都会はくさい
エジプトの瞳をひもといて
喜びを教えて、ソピステース
万華鏡ではらめくの
青黒い髪だけをかき集めてるね
あの子に似せた神様仏様
モダン・ホトキスト
夢中の殺人
ティラミスのなかのひみつ
I'm thinking about a LOVER'S SUICIDE
(心中のこと考えてる)
私の袖はもうビショビショよ
原鉱石の人を初めてみた
白に萌えづくにおいがします
水銀灯のしたで羽音
正しく在れるあけぼのに居ろよ
情で崩れるようならあほうだ。
夜に爪を切りたかったのは私だ。雨にぬれたかったのは私だ。石を積みたかったのは私だ。
さんずい殺し
「マッチ箱の部屋で手つなごうぜ」
ショッキングカラーに嫁ぎたい!
肩の力はガマの油で
恋しがるのは西ばかり
区区たる日にむけ君を清める
白磁の友に身を委ね
夢のいずこかと問うている
末の松山を塗りこめる
桜貝の爪がつたうのはあかるみの私
8
叶えられる約束はしないでね
まどわしの暗闇のこと
けだものなはなし
奇々怪々の国
私を美味しくいただいた
同情ひいてますよ
なに、それはお前の心が狭いのだ
かすみを喰っても生きれるの
ほおずきの中には龍がいる!
さらさらと知らずしらずに愛される
9
おもむろに青をすすらないで
その燃え盛る掌の欲望を放すなよ
蜘蛛女郎には山吹のかほり
デスデモーナの幸福
藪をつついて鬼を出す
太陽になって溶けだせるのならば
あまりにかそけく生きたいだけ
細いうなじ赤い糸で綴じて
アキラメ・メロディオン
ふたり昼夜となりまわろうじゃないか
徒然も理解できないまま
鮮やかなせせらぎをつたうお前がなにより怖いよ
蝋梅でべたべた
情香の跡すら愛らしい
少年は鬼になるには若すぎた
「このままじゃ悲痛で鼓膜がやぶれるぞ」
二の腕に青大将を飼っていた
年々蛙らしくなるじゃない
日の沈むのを止められないの、縮まらないの
ねりきり誘拐
ひなびてしまった話
夜中の屋根でみゃーと鳴くみやび
10
二度目のびいどろにご用心
オシロイバナのよく似合う
そっと見てソドミー
神さまあからさま
たぬきの嫁入り天気雪
手の焼けるより妬けてくる
ありがとうかりんとう
カルメラで恋
ローレライが見惚れてて
地雷原ごと抱きしめてくれる?
11
子々孫々までかやの中
おおきすぎて姿の見えないおおきな愛でした。
火種がなけりゃ火傷しない
ぬかづく、むかつく、ひざをつく
がしゃどくろに梅
謂われなく尊厳をうばうもの
百面相のその果てに
きみのはらわたぼくのむね
馬鹿正直にまぐわった
ガンガゼをしらない
まがごとは丑三つにおとどけ
今度こそ黒に透けるため
日没に染まるざくろのようでした。
いつかおまえのために霧散する
ふっくらとしたますらお
ミラーハウスでつかまえて!
仏の顔すら嘘八百
よしてよ金ぱくはがさないで
かえるけらけらみけらけら
あめふらしには少女しかいない
稲妻の先っちょにいるぜ
晃々と綺羅綺羅を駆けてこうね
We wanted to meet you, Subaru.
ここから後ろは刹那しかないよ
誰もいない奈落すらきずつける
愛らしき色を見たことあるかい
春はこのままめざめずに
ままならない永訣を迎えるのだ
水銀に植えた花は咲くの、
からすは一つの子もないからよ
月明かりなげやり
あなたの悦楽はここにうめました。
仏様のおみあしにかさぶた
よおくみてからかなぐり捨てろよ