(七夕の日)
天河の露から糸をひろう
そこまで甲斐性ないものね
金銀錦の願い事にお優しい御時世
雨天で傘もちゃムードが無いよ
カササギブリッジを踏み外し
因果応報は天帝のお膝元
くちびるかみしめぱったんことりぱったんことり
私の乳だって影をおとす
星々色の爪で赤い糸をたぐるの
誰かの幸せが消えるのはぴったり五回
(夏)
隕石いちじく一卵双生児
魔法の呪いは夏だけよ!
ツートンカラーのスイカ割り
「雨滴に素敵」
ぜったい向日葵は朝顔に恋してた
(されど臆病なギャタピーアス
教室の窓は陽射にかすむ
ああ、こうなるのだったらあのときのいとけないペテンはなんのため。
ふるさとは蒸し暑い夏の夜の底
透明人間はウルトラマリンを飲んだんだ。
(昆虫採集)
無邪気に二寸を踏みつぶす!
あれほど無我夢中のものがただの愛欲まみれの歌ならば
ミンミンゼミなら2ポインツ
六本足をくいつくす
夜の蜘蛛は純透る甘露と共に
これは女郎の踏切
奪うということは熱い手を握りしめるということ
「あたしの母さんは巨人に殺された。」
はだしの上で息をつく
夏を燃やすカモフラアジュ・グリーン
(夏至)
12時から私たちは横歩き
イチジクは嘘つきに夢を見せない
テスカトリポカは夢の中
未練と共に鹿角を落とせば、
この日に煩悩を焼き尽くすわ
夏橙でいっとうはやい朝を明かす
大脳で薫るセント・ジョンズ・ワート
夜に飽かずに寝られる
早乙女は人工極夜の夢をみるか
あやめと勝負よ、かきつばた
(うだる)
熱帯夜ににわとりが産むのはうで卵
蒸し暑い夜にはひっついて押しつぶされた小鳥の声で腰をそそりましょうか。
オーブンの中でグラタンと二人
一度は人知れず夏に刺されたい
こぽこぽ試験管のなかでまるくなる
もろもろのひとづきあいはあたしにはやすぎたわ
そうですよ、うでの中で優しくうでてね。
あえなきマスキングテープは彼の羊水にあわをこぼして、
四畳の帝国は崩壊寸前
プリーズ・コール・ミー・ボイリング・マン