握るべからず、救うべからず、溺れるべからず。過ぎた思いに溺れれば。
菊の真中に慈悲を咲かせたのはわたし
その刃はぬるい中で磨がれるという
人の憎悪は落雁で縁どれる
いつからか怖いものは夜の中にたった一つ
夢物語は見飽いたのだ
救いに巣食うばけものどもすら取りこぼす
華奢な情のために私を貪るのかい
今思えば雨の如き別れであったよ
「ぼくはあの子にはずれをあげたから」
この枷は永劫に夕焼けを捕まえる
まさか蜉蝣之命を無駄だとは笑うまいよ
違うのは手を握ることと抱き上げること
欲に堕ちらば百合が咲く
隠れ事は弦打に聞いてね
まぎれもなく行灯は夜の侵略者だよ
岩戸の自分は雷で生きている
「私は悲しみにしか溺れないさ。馬鹿を言え。」
海底のがしゃどくろがぶつくさすることには、
生臭坊主の包帯劇
おとぎばなしで金瘡は捨てられないのです
いとしき衆生は度し難い
ぶっきらぼうな金物の恋慕をその耳で聞けよ
色香に沈めばばしゃばしゃばしゃん
雄弁は極楽の蓮に預けた
この身を虎に食らわせば春を忘れなかったのか
その無私の慈眼でまたあなたが傷つく!
骨を食らわば髄まで啜れ
せめて竹林の中で静かに飢えたい
さまよい歩けばお化けは左目より出づる
爪跡ほどに憂きものもない
まるで伴いたくもない比翼連理のよう
当たり前だけど愛情は別の蔵に入れてきたよ
私が地上に沈めばお前は天を殺す
裏切りの簒奪は月に乗じて
白銀のこの身はただの月光遍照
慢心でさえこんなに醜くはないだろうに
かしゅかしゅのままのがい骨
仇討ちは反吐のカタマリ
有平糖の池
水面の亡者に傘さしかけるそんなくだらないことのため
私はかささぎ、主の切っ先で打ち抜いて
嫉妬の水菓子
この身の所在を教えてくおくれよ。
断末魔ならば母より出づるころに聞いた。
信頼から這い上がり憧がるのはだあれ
ただちょっと己を削るだけじゃないか
二度目の雲母は瞬かない
首筋の赤に額づけ!
「それはまるでどうしようもない風花のようだね」
唐紅の羽根を踏みつけたの
からすみたいなさびしさをこのおれがひろってあげてもいいぞ
目を開ければ鮮血の夜具の中
てのひらは金色で埋めたはずだ
白銀に唇を寄せていい日
未来永劫後生二世、欲心に溺れて過ごせばいい
わだつみに恍溺してはいけない
あの鶏が食卓に並ぶ前に僕は二度悲鳴を飲み込む
鬼囃子の鳴るほうへすすめ。間抜け共
そんなふうに年を巡っても大人になれないんだもん
夜明けの隣はもぬけの殻
孤独を押し殺して返さないでいいんだ
気高さに汚れたヘソをよこせよ
そのいたいけな性を砕けという
さあさ御開帳御開帳、大陸北方に伝わりますは触れれば燃え上がり、見れば目が焼ける、一声鳴けば天をも焦がすと言われる秘鳥でございます。
般若の猿まねをしておるのです
女だてらに子を産むのね
ウツシヨの間違いをなぞっていこうではないか
「あんたの息の根をひっこぬいたわたしだよ。覚えておいでかい」
人のひづめに蹄鉄をうちつける音
掛け軸の中のおうち
決して放したかあないんだけどね
いっとうおそろしきものはなに
ただうなずけば微笑む夕暮れだよ
「どちらが欠けてもかなえられないような、そういう類の約束ばかりしたね」
墨色の目をした少年の恋について
されるがままに阿吽と鳴いた
憧れに攣ってろ馬鹿め
素材:
cider