あなたがすきです。十五年前のふゆに、てがみをわたせなかったこと。
マホガニーの枠の中、魚は泳ぐ
言葉の使い方からしてなっていないんだと思うよ
心があれば生きていける
窓の桟から顔を出した君に
セミの声がじわじわと内側から熱くするの
声に出せないいつくかの、もの
チョコレートクリームのゆーえふおー
時計の針が止まった水中
確かにあわい水銀のような爪の色がゆらゆらと揺れていたのです

アイロニーに翼は生えない
かさねれば、こんなにもダイヤルみたいに短縮されていく時間
「きみは入っちゃいけないよ」と草色の詩集が言う
5色色鉛筆で愛をかたるお仕事
彼女はぷらちなをコーヒーの中でゆっくりとかきまぜて合図した
帰郷三等車室の真ん中を神様が歩いた
髪の色くらい自分で決めたかった七日間
自動ねじまき式家族
池の底にたまる疑問符にエクスクラメーション
不必要な妹でしたか

ぼくはふ、と笑った
階段横植木鉢に住む猛獣たち
おぼれるというのはひゆひょうげんでして、本当はしずめられているのです。
海がっぱ
皿の上に塩を持ってはぷりぷりの鯵を、口に
何千があって。1つたりともかぶらないこの世のおかしなところ。
沈黙でわかりあえる仲だというのに
おもちゃをもらうときの気もち
(忘れていた晩ごはんのにおい)
理不尽だと嘆く暇があるなら少しは誰かを幸せにしてみなさい

あなたとは替えのきかないものなのです。よいですか。
ヴェネチアのヒタン草
だって空気に色は無いんだもの
目をみはった酸素のあおいろ
調子よく百と三回目の煩悩をかなでよう
レモネードでおぼれるカエル
いちばんたいせつなひとだと あなたにつげて えいえんのなかいきるよ
猫の髪は橙色の空に染まれるのか?
ひやりとした川を紙でできた星の光がただよえば
彼のためだけの夢だという

丁寧に塗り込められた藍の肌
一画でも残ったなら幸い
ルーツ、とえがいたあの人の黄緑のマニキュア
「人生がはいるようなマグカップを探しているんです」
森におちた想像惑星
父と話すときのうかない気分と、父が息絶えるときの象の皮膚のような顔に浮かんだ笑みと
のどがかわいて泣いてしまった
どうしようもない思春期のジェネレーションギャップ
障子の向こうの後ろ姿に、歳をとって思い出すとほろりとくるんだ。
いちご色のうりぼう